名言info

塚越寛の名言101件

私は「労使」という言い方は嫌いである。代わりに、「同志」と呼んではどうだろう。働くのが楽しい職場を作り、「いい会社」を目指すという点で、労働者と使用者が志を同じにできれば、労働組合は不要になる。
伊那食品工業では、私が先頭に立って職場環境の改善を図っている。快適な環境作りをサボっている職場を見つければ、「カネが掛かってもいいから、改善せよ」と指示している。私と従業員は同志だから、「労働組合が必要だ」などという声は社内から上がらない。
かの二宮尊徳は、「学ぶとは人の道を知ることだ」と説いたそうだ。ブラック企業の経営者は経営学を学んだかもしれないが、本当の意味での学びを怠ってきたのではないか。
経営者は、福利厚生を充実させ、職場を快適にするなどして、従業員の多様な幸せを実現できる環境を作り出さねばならない。幸せを追求できる環境があれば従業員は会社に感謝し、一生懸命働こうというモチベーションが生まれる。おのずと生産性は上がるはずだ。そうして従業員が幸せになれば、経営者自身も幸福になれる。
人間の営みとは、お互いの幸せのためにあると私は信じている。しかし、経済の世界だけ、そうなっていないのはとても残念だ。売上や利益、シェアが優先され、幸せの追求が忘れ去られてしまっている。世界的な経済の混乱は、そこに原因があるのではないか。こんなことは明らかに間違っている。
経営者が従業員の生活を犠牲にしてまで、短期的な利益を追い求めるのはいかがなものか。確かに、人件費を削減すれば、効率は高まり、利益が生み出せるだろう。ところがその結果、現場の士気が落ちれば、トラブルが起きるリスクが高まる。あるいは労働環境が劣悪だなどという悪評が立ち、「ブラック企業」と呼ばれるようになる恐れもある。そうなれば会社のイメージは傷つき、ブランドも地に落ちる。目先の効率化は結局のところ、長い目で見れば非効率的なのである。
私は二宮尊徳の残した「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」という言葉を、経営の基本に据えている。「将来このような会社でありたい」という長期的な展望を描いて、日々そこに向けてコツコツと努力するよう心がけている。短期的な利益を生むために、人件費を削ることはない。
人件費はコストではなく、会社の目的そのものだ。従業員に人件費を支払い、幸せになってもらうことこそ、会社が存在する大きな理由だ。人件費をコストと位置づけること自体が間違っている。
賃金が毎年、少しずつ増えて、以前より幸せだと従業員が感じられることが、本当の意味での企業の成長ではないか。言い換えれば会社の利益は、従業員を幸せにする手段にすぎない。人件費を得るために、会社は利益を上げるのであって、利益を上げるために、人件費を削るというのでは、本末転倒である。
未上場企業なら、利益が出なくても構わないとも思っている。人件費を支払った上で、利益がゼロになったのであれば、何ら恥じることはない。それでも残った利益は「残りカス」だ。わざわざカスをひねり出すために、従業員の幸せを犠牲にする必要性はどこにもない。利益などというものは、その程度のものだ。
「成功とは何か」とのことですが、私は企業経営において「成功」などというものは、本来的にはないと考えています。すべての会社は遅かれ早かれ、いずれは倒産するものだと思います。極論かもしれませんが、その意味では「すべての企業経営は失敗につながっている」とさえ言えるでしょう。
どの時点にせよ、企業が倒産すれば、そのとき働いていた社員とその家族を不幸に陥れてしまいます。取引先やお客様、あるいは金融機関にも迷惑をかけてしまいます。納税できなくなり、失業者を発生させることで、地域社会にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。ですからそうならないために、企業は永続しなければならないのです。しかも縮小することなく、必ず成長しないといけないと思います。たとえ社長が何人交代しても、どれだけ長い年月がたっても、健全な経営が維持されなければなりません。つまり企業経営とは「終わりなきリレー」であると言うことができます。
経営にゴールなど存在しません。ですから、どこかの時点で区切って「成功した」とも、逆に「失敗した」とも言えないということになります。ある時期非常に大きな利益を出して、まるで成功しているかのように見えていたとしても、わずか数年後に赤字に転落してしまう企業はいくらでもあります。もちろんその反対もあります。運動会のリレー競技で、まだだれもゴールしていないうちから勝ったとか負けたとか言うのがナンセンスなのと同じです。
私は21歳で社長代行という肩書を与えられ、親会社から伊那食品工業の経営再建を命じられました。以来、社員の幸せを第一義としながら奮闘努力を重ねたところ、初年度から2005年まで48年間連続で増収増益を続けたという結果が残り、そのことが「成功」であると周囲から褒めていただけることはあります。しかし、私自身はそれをもって成功だとは考えておりません。きれいごとでも何でもなく、あくまでも終わりなきリレーの走者の一人として、一所懸命に走り続けた途中経過にすぎないのです。
そもそも企業が存在する理由、会社を経営する目的とは、いったい何でしょうか。それは、「人間を幸せにすること」です。私どもが寒天および寒天の成分を生かした健康食品や医薬品などさまざまな製品を開発・販売しているのは、美味しい食べ物や体にいいものを提供することで、人々に幸せになってほしいからです。同時に、適正な料金をいただき、社員たちの幸せを実現するとともに、地域社会の幸せにも貢献していきたいからです。
考えてみれば、およそ人間の営みというのは、すべて人間が幸せになるためのものであることが分かります。ありとあらゆる仕事は、本来は人々の幸せを実現するために行うものなのです。代金は、幸せを得た人が支払う正当な対価と言えます。
経済を扱うマスコミにも、短期間で会社を急成長させた経営者を称賛する傾向があります。まるで時代の寵児(ちょうじ)であるかのごとく扱われ、有頂天になり、足元を見失って転落した経営者を、私たちは何人も見てきました。成功でもないのにみずから成功したと思い込んで増長したり、周囲がもてはやしたりするから、おかしなことになるのです。
人間の幸せや快適さの追求という企業本来の目的は大切ですが、お人よしの経営を行えばいいというわけではありません。利益の薄い奉仕のような仕事をし、ときには赤字の仕事まで引き受けて、社員の給料がまともに払えなくなるようでは、そもそも経営が成り立っているとは言えません。そんな会社は早晩、資金繰りが悪化し、いずれ倒産してしまいます。こうしたことを考えるとき、私は二宮尊徳の言葉を思い出します。「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」経営者はすべからく、この意味をしっかりと胸に刻んで行動しなければいけないと考えています。
道徳的なことばかり主張して、経済的な裏づけがないのも困りものです。いくら口ではいいことを言っていても、社員とその家族が生きていくための最低限の利益を確保できなければ、単なる戯言と片づけられてもしかたがないでしょう。
理想の会社とは、製品およびサービスの提供や諸活動をとおして、社員も顧客も仕入れ先も地域も幸せにしながら、しっかりと適正な利益を確保し、着実に成長し続けられる会社のことです。
道徳と経済を両立させた理想的な会社をつくっていくために必要なのは、「経営スキル」です。すぐれた経営スキルがあれば、厳しい状況でも活路を見出し、企業を成長に導くことができるはずです。
「研究開発型」の経営体制をつくっていくことが不可欠です。既存の商品やサービスを提供し続けるだけでは、いいときもあるかもしれませんが、長期的には必ず先細りになっていきます。常に研究開発を怠らず、新しい商品やサービスを開発し続けることによって、新しいニーズを掘り起こしていくのです。正しい方向で研究開発を続ける姿勢を維持すれば、その会社は将来にわたって生き長らえていけるでしょう。
伊那食品工業でも、今より会社の規模が小さく、お金もなく、人員に余裕がなかった時期に、研究開発部門を設けて数人の社員を配置しました。その後、いつでも全社員の10パーセントの人員をそこにあてることにしてきました。これは寒天業界の見通しが明るくなかったため、危機感を抱いて始めたことではあります。しかし結果的に、寒天を原料とするさまざまなオリジナル商品を開発してきたことによって、当社は業界でナンバーワンの存在になれました。新しいマーケットを創出し、同業他社と競合することなく売上を伸ばし続けることができたのです。
研究開発と言っても、物づくりだけの話ではありません。新しい業態を開発したり、画期的な営業の方法、宣伝の方法を創出していくことによって、成長の種を育てていくことができます。芽が出るのは5年後かもしれないし、10年後かもしれません。しかしどのような業界であっても、いい会社をつくっていくために、研究開発型の企業であり続けることが大切だと思います。
研究開発のポイントは、「進歩軸」と「トレンド軸」のバランスです。人類はより幸せに、より快適に、より健康に、より便利になっていくために何千年、何万年もかけて進歩してきました。そういう方向性を、私は「進歩軸」と呼んでいます。この人類の進むべき方向に沿いながら、時代時代の流行である「トレンド軸」をうまく加味することによって、ニーズを開拓できるのです。たとえば当社の寒天製品で言えば、「豊富な栄養と手づくりの美味しさを追求する」という進歩軸と、「器に入れてお湯をかけるだけで簡単につくれる便利さ」という現代のトレンド軸を組み合わせたインスタント食品をつくり、お客様に喜んでいただいています。
利益をしっかりと確保する仕組みをつくることも重要なポイントです。どんなにすばらしい商品やサービスがあっても、それを販売する段階で適正な利益を確保できなければ、企業は成長していくことはできません。
当社では、直営店での販売と通信販売を主体とすることで、エンドユーザーに商品を安価に提供しながら、同時に必要十分な利益を確保してきました。おかげで強い財務体質をつくることにもつながっています。つくることと売ることを両方行うためには、資金も人材もノウハウも必要ですから、企業はある程度の規模に成長しておかなければならないでしょう。決して簡単ではありませんが、自社でつくって自社で売ることによって得られるメリットには、ほんとうに測り知れないものがあります。
企業のイメージアップも非常に重要です。いくらすぐれた製品をつくっていても、イメージの悪い企業から買おうとは思わないでしょう。
企業イメージをアップさせたいとき、もちろん効果的な宣伝活動も行いますが、それ以上に社員を大切に育てることが重要です。熱意があって好感度が高く、しかも能力の高い社員を育成すれば、それだけで会社のイメージは自然によくなっていきます。仕入れ先をはじめとするさまざまな取引先に対しても、仕入れ価格を値切って自分だけが儲けようとするのではなく、仕入れ先も一緒に発展していけるような形で取引を行います。仕入れ先を大事にすれば、必ず自社のために一所懸命に仕事をしてくださるようになります。そのほうが結果がよくなるのは、自明の理です。
地域に対しても、雇用創出を含め、できるかぎりの貢献活動を行なっていくべきでしょう。たとえば社屋周辺の清掃などは、さほど経費をかけなくても熱意さえあればできます。そうして地道に地域貢献していくことで、企業のイメージはおおいに向上することでしょう。イメージアップが図られた結果、回り回って売上の増加にもつながるでしょうし、自社のファンになってくださった方々が、「くちコミ」という最も効果の高い宣伝活動を行なってくれるようにもなります。
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