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天坊昭彦の名言58件

出光は今年で創業103年を迎えますが、創業時から現在に至るまで、店主(創業者・出光佐三)の理念を実践しようとしてきた会社です。時代環境も創業時とは大きく変わりました。それでも、経営についての基本的な考え方は何ら変わりありません。会社の歴史と店主の理念に誇りを持っていますし、歩んできた道のりは正しかったと、自信を持って言えるからです。
人間の満足度は仕事だけで得られるものではありません。プライベートも充実していて初めて満足感が得られる。だから、仕事だけの付き合いではダメなのです。社内では「公私一体」という言葉を使うこともあります。職場の仲間は、互いの家族のことや健康についても知っていて当たり前です。ですから、家族が倒れたら、無条件で「すぐに帰れ」となります。上司がいなかったらその上司が、その人もいなければ上の先輩が判断して帰します。大切なことなのだから当然です。
「大家族主義」で公私とも深く関わりながらも、仕事は完全に任せるのが出光流です。店主(創業者・出光佐三)は「独立自治」という言葉を使います。社員一人ひとりが経営者であるという考え方です。その事業をやっている人が一番よく知っているのだから、すべての判断を任せます。
部下の判断も出光としての判断ですから、たとえ間違っていても、上司が覆すことはありません。「なぜそんな判断をしたのか」と、こっぴどく怒られることはありますが、お客様にとっては部下も上司も出光を代表している社員であることに変わりないのですから。
問屋を使う卸売りの商売は楽な面がありますが、消費者との接点がないため、実際に使っている人の要望やクレームを直接聞いて、製品に反映することができません。ですから出光では、社員が直接、営業活動を展開するのです。このスタイルは、国内でも海外でも同じです。今でいう「ソリューションビジネス」を創業時からやってきたわけです。
今もこれからも、日本のエネルギー安全保障に貢献することが出光の使命です。日本にとって石油は最も大切なエネルギーであり、国内の石油事業が出光にとって最も大事な柱であることに変わりはありません。
日本的経営と言うと、終身雇用と年功序列といった雇用慣行を指すことが多いと思います。ですが、それは結果であり、私は日本人の道徳に基づく経営こそが日本的経営だと考えています。一人ひとりが志を高く持ち、相互に信頼し、任せることのできる経営です。
性善説に立ち、性悪説に基づく部分は最小限でいい。信頼が生まれれば規則で縛られなくても、一人ひとりの判断に任せられます。信頼されれば、やりがいも大きくなる。一人ひとりが自由闊達に動きながらも、全体のためには一致団結する。
日々の厳しいビジネスの局面では大義を忘れ、短期的な成果を求めてしまいがちです。大義を貫き続けるためには、厳しい道もいとわずに選択できる強い信念を持つ社員が必要です。だからこそ創業以来、人材育成を最優先にしてきたのです。
物事を見る時には「大局観」を持つことが重要です。ビジネス環境がどう変化するのか。各企業はどう対応するのがよいか。こうしたことを考える上でも、大局的な見方が役に立ちます。
改めて勉強し直そうと、為替の世界で有名なバンカー2人に教えを請いに行きました。「為替を見る時に一番大切なことは何か」と問う私に対して、2人は「短期的な動きに惑わされず大局観を持って本質を見極めること」「そのためには歴史を学ぶことが重要」と答えました。主要国の政治、経済、金融、貿易の流れを押さえる。どこかに大きなひずみがたまると、必ずそれを解消する方向に変化が起きるので、その兆しを見逃さないことが大事だと教わったのです。
大局観を養っても、為替や株価、原油価格などのピンポイントでの動きを予測することはできません。しかし中長期的に戦略を考える際には不可欠です。経営に携わる方は、大局観を持って政治や経済の動きを見ることが大切だと思います。
仕事のステージが変わる局面局面でいったい何が起こり、いったい何が必要になるかを見通す力。こうした力をもった人こそ実行力がある人なのであり、出光が求めるのはこうしたポテンシャルをもった人材なのです。
大家族主義を貫くためには、採用のときに人材を厳選することがなにより大切です。少数精鋭主義を標傍する出光は、将来余剰になるような人材は最初から採りません。家族はお互いのあいだに信頼関係が崩れたらおしまいです。ですから、信じられる人しか採用しないのです。そして採用したからには、子供として愛情を注ぐだけでなく、徹底的に鍛えて自立させるのです。
若いころは、「この仕事は好きだ」とか「この仕事はやりたくない」などと自分勝手に仕事を選別してはいけないと思います。会社側は、新入社員として入社したときから、この人はどういう特徴をもっているのか、どういう経験をさせれば伸びるのかを考えて、さまざまな仕事をローテーションさせます。苦手な仕事だからと遠ざけてしまうと、そこがその人の穴(欠点)になってしまうのです。ですから、与えられた仕事は、文句をいわずにまっとうすることが大切です。
ビジネスマンは、不得意なジャンルはつくらないほうがいい。とくに、事務系の場合はそうです。ですから、たとえ苦手な仕事でも、興味を持てる部分を探してそこから攻めていくというように、自分自身で意欲を持てるような取り組み方を考えていくといいでしょう。
出光では、任された仕事の途中で文句をいわれることはほとんどありません。「お前に任せたぞ。自分で完結しろよ」と。ただし、仕事を途中で放り投げると叱られます。つまり、上司は部下のことを非常に注意深くみているのです。
出光では、失敗を激しく責めるということはありません。ただし、失敗して「すみません」と頭を下げればいいかといえば、そうではないのです。失敗をいかに次への教訓として活かすか、失敗を糧にしていかに自分の肥やしにしていくか、そこが大切です。出光では、失敗をした人がいったい何を得たのかということを重視します。
仕事というのは非常に大きな広がりをもっています。一枚の伝票の裏にも広がっているし、将来に向かっても広がっています。
意欲があって実行力がある人材を採用しようと考えています。理屈は立つけれど実行力がない人は、往々にして評論家になってしまいます。しかし、実行しなければ会社の事業というものは成り立たない。頭はいいけれど実行しないという人材が、一番いけません。
ポテンシャルをもっている若い人をきちっと指導することが大切です。入社5年目から10年目ぐらいのあいだに、ひとつの仕事を最初から最後までやり遂げる経験を積ませることが非常に大切です。
ひとつひとつの仕事とは、開始から終了までのあいだに起こる、イベントの集合体だといえます。時間の経過とともにステージが変わっていって、ステージごとにどの分野でどんなことが起こるかが異なるわけです。これは、経験してみなければ絶対にわかりません。
よく、仕事のスキルというと会計とかITとか語学とかいうわけですが、そうしたスキルは、持っているにこしたことはないけれど、持っていれば仕事ができるというわけではない。むしろ次はどんなステージに入って、そこではどの分野のどんなスキルが必要になるかを見通せる力のほうが大切なのです。もし、そのスキルが自分になければ、それを持っている人の力を借りればいい。仕事をやるとは、まさにこういうことなのです。
誰かをつかまえて一杯やりながら、ほろ酔い加減で「こうだよな」と頭に思い浮かんだことを、シチュエーションを変えて三回検証してみる。それで答えが変わらなければ実行するだけです。
2006年、出光は上場を果たしました。メディアはオーナーに上場を承諾させた立役者として、私を「大胆だ」「度胸がある」と形容しました。しかし、私は決して度胸があったわけではないし、上場は私一人の力で実現したわけではありません。立場上、オーナーと一対一で話をする場面もありましたが、私は極力会議の場で上場の必要性を説くようにしました。こういう場合は、陰でこそこそ動くのが一番危険だからです。そのうち土地の値段が下がり始め、内部統制の強化が叫ばれるなど、私が予見していた問題が次々と現実のものになっていきました。私はこうした機会をとらえては上場の必要性を力説し、徐々に周囲を巻き込んでいきました。
私は効率的な時間の使い方というものを考えたことがありません。効率を考えてギスギス生きるより、無駄な時間を過ごしているほうが人生は楽しい。私はそう思っています。
社長に就任して、兵庫と沖縄の二か所の製油所を閉鎖しました。製油所の地元にはたくさんのステークホルダー(利害関係者)がおられるから、止めれば多大なご迷惑をおかけすることになります。しかしあのとき製油所を止めなかったら、止めるときはありませんでした。製油所を止めるには大変なパワーが必要です。しかし、やりたくないことを先送りすると、余計にやりにくい状態を招いてしまうことになります。
現在我が社は、有機ELの材料やアグリ(農業関連)バイオ事業などの新規事業に力を入れています。石油に代わる一次エネルギーはそう簡単に登場しないでしょう。しかし、いまのペースと値段で誰もが石油を使えるかといえば、それは難しいでしょう。いま新規事業の種をまかなければ、手遅れになってしまいます。
時を上手くつかまえるには、ものごとの優先順位を考える必要があります。その際、私の基準は、「社会に役立つかどうか」です。会社が存続することは無論、従業員にとって重要ですが、果たしてその会社の事業は世の中の役に立っているのか?そこを考えると、ものごとの優先順位はおのずと見えてきます。
時には勢いがあり、その勢いに逆らうと何もできなくなります。そして、時に弾みがつくと、意外なスピードで世の中は変化していきます。私はこうした時の特性を軽視しない方がいいと考えています。
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