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太田肇の名言45件

マネジャーにとって大事なのは、「人の管理」ではなく 「仕事の管理」である。人の管理は仕事を成し遂げ、成果をあげるための手段に過ぎない。「仕事の管理」に必要な範囲でのみ、人を管理すべきなのである。
ご褒美は、部下が自分の能力を知るためのひとつの手段であり、一種の鏡のようなもの。給料やボーナスアップ、昇進、褒め言葉や表彰など、ビジネスパーソンのモチベーションをアップさせるご褒美はいくらでもあります。これらを総合してパッケージ化することがやる気につながります。
A・H・マズローの「欲求階層説」によれば、下位の欲求がある程度満たされてはじめて上位の欲求が呼び起こされ、ある程度満たされた下位の欲求は動機づけの力を失うとされています。たとえば最も次元の低い欲求である生理的欲求は、ご褒美でいえば月給やボーナスに相当します。賃金がアップすれば、そのときはうれしいし、もっと頑張ろうという気になるでしょう。しかし、しばらくするとそれが当たり前になって持続しません。
馬の鼻先にニンジンをぶら下げるのではなく、何かを達成したからご褒美をあげるという「思わぬご褒美」という形をとれば意味が違ってきます。部下にとっては「自分の能力や成し遂げた仕事が承認された」ことになるので自信になり、人を最もポジティブにしてくれる要素のひとつ「自己効力感(自己有用感)」を高めることにつながるのです。
部下へのご褒美の中でも最も効果的なのは「大きな仕事を与える」こと。自己効力感(自己有用感)をストレートに感じられるからです。加えて、その人が持っている潜在能力をすべて発揮したときに達成できるかできないか、といったチャレンジングな目標、つまりギリギリの目標を与えることが有効です。
満足感をもって仕事をしてもらうには、自分の名前で仕事をさせるといいでしょう。企画書にクレジットを入れるのはもちろん、誰のアイデアか、誰の意見か、誰が取り組んだ作業かを明確にするよう会社の仕組みとして制度化するのです。現在はそれが曖昧すぎるケースが多く、「上司が手柄を横取りした」「自分のアイデアが採用されたのに評価に反映されない」など、いらぬ不満を引き起こしているのです。
高学歴社員や大企業に入社した人の中には、周囲の評価以上に「自分はできる」と思い込んでいる人が少なくありません。かつて学校の試験でいい成績をとれたことを、社会に出てからも引きずっているからです。つまりは自信過剰。そうした人に現実を知ってもらうには、「同じ条件で仕事をする機会を与える」ことです。自分の名前で仕事をさせ、もし周囲より力が及ばないと知れば、さすがに評価に納得するでしょう。なかには、そこから奮起できる人もいるはずで、一度自分の至らなさを認めた人であればこそ、大きな戦力となるはずです。
褒められ世代に対しては、普段から軽めに叱って免疫をつけていくことが重要です。
褒めるときは、いま、どの位置にいるのかがわかるように知らせることが肝心。私の教え子は会社の上司から「君は同期の中では一番素晴らしい。だけど、会社全体で見ればたいしたことはない。次は会社全体の中でもっと上位にいけるよう頑張れ」と褒められ、励まされたそうです。教え子は、俄然やる気がわいたと言っていました。
最も効果的なのは、上司に褒められること。昇給や昇進といった実利に結びつくと考えられているからでしょう。同僚や他部署の人から褒められた場合、人間関係がよくなる効果はあっても、仕事へのモチベーションアップにはつながりにくいようです。
表彰は会社としてその人を認めるという明快な意思表明なので、受賞者はそれを誇りに思うことができ、周囲もそれを受け入れざるをえません。ポイントとなるのは透明なプロセスと、あらゆる人が表彰される可能性があるという公平さ。さらに、日の当たる人だけでなく、非正規社員やアルバイトなど縁の下の力持ちも対象となるような制度であれば、組織を活性化するご褒美として有効となります。
よくあるのは、「この仕事は君に任せた」と言いながら、後で「私に相談もせず勝手なことをするな」などと矛盾した叱り方をするケース。これは、どこまで任せるか線引きがはっきりしていないから起こることです。線引きを明確にし、任せた限りは一切口をはさまないといった割り切りが重要です。
モチベーション維持の秘策は「長期的な青天井の夢や目標を持つ」こと。将来、独立して大社長になるなどといったたぐいのもので0K。それがあると、多少失敗したり面白くないことがあっても、モチベーションが途切れることはありません。
人は、自分が努力してきた過程や、努力によって得られた成果などを他人から「承認」されたときに、大きな喜びを感じるものだ。この承認の喜びがモチベーションとなり、いっそう努力するようになる。
さまざまな論説等でよく引用される「マズローの欲求階層説」において、承認の欲求は、最高位の自己実現の欲求に次ぐ、二番目の欲求に位置づけられる。人が仕事をする際、もちろん自己実現の欲求も大きな動機となるだろう。しかしそれ以上に、承認の欲求を満たすことは、やる気を高める原動力となりうる。
人は「誰かから認められたい」という強い欲求を持っている。しかし、日ごろその欲求を言葉や態度に出すことはほとんどない。特に、自己アピールが下手な日本人にその傾向が強いともいえる。いつも表向きは抑えている欲求だからこそ、人から承認されたときの喜びは大きく、高いモチベーションにつながりやすいのである。
会社を運営する立場の人間には、どちらかといえば従業員を「労働者」として一括りにとらえる向きがある。しかし今の時代は、「個人」を理解し、「個人」を生かしていくことが不可欠な要素になっている。
会社で働く人間がクリエイティビティを発揮するためには、個人の「自発的なモチベーション」が必要不可欠となる。今や個人を生かし、一人ひとりのモチベーションを高めていくことが企業の最重要課題となったのである。
個人が生かされなければ生産性は下がっていく。品質も下がる。いくらトップダウンで号令をかけ、表向きは素直に従っているように見えていながらも、それはあくまでも外見であって、実際には面従腹背する人が多くなるだろう。見えないところで手を抜く社員も増える。
会社経営において、「表彰制度」の導入は非常に大きな可能性をもたらしてくれる。何らかの形で社員の取り組みや成果を表彰すれば、その社員の「承認の欲求」は高いレベルで満たされる。承認の欲求が満たされることで、社員は大きな喜びを得ることができる。この喜びが、個人のモチベーションを大幅に高めてくれるのだ。
創造的でモチベーションが高い人たちは、それぞれのジャンルで何らかの「賞」を獲得することを目標としている場合が多い。科学者ならノーベル賞、俳優や演出家ならアカデミー賞、作家なら各種の文学賞、スポーツ選手ならオリンピックの金メダルなどが究極の目標になるだろう。といっても、賞に付随して得られる賞金や賞品が目的なのではない。もちろんないよりはあったほうが喜びも大きいかもしれないが、究極的に重要なのは「名誉」を得ることである。名誉のために人は努力するのであり、名誉を得たことによって、さらなる高みをめざして努力しようとする。会社経営において与えられる表彰も、それが一定以上の権威を有していれば、受賞した従業員の「名誉」となる。
表彰制度を導入するときに気をつけなければいけないのは、受賞者を選ぶ方法である。ここでは単純な営業成績トップといった賞ではなく、それぞれの会社が独自に設ける賞のこととお考えいただきたい。仮に受賞者を、社長や幹部が密室の中で決めたとしよう。そういう方法で選んでしまうと、必ずといっていいほど不信や不満を抱く人間が出てくるものだ。「あいつは社長のお気に入りだから表彰された」とか「あいつがもらえるのに、自分がもらえないのはおかしい」などと社員から思われた瞬間に、賞そのものの値打ちが損なわれてしまいかねない。こうした事態を避ける方法として、「ポイント制」を用いるのもいいだろう。売上をこれだけ上げたら何ポイント、お客様から感謝の声が届いたら何ポイント、どこかで何かを発表したら何ポイントといった具合に、ポイントの割り当てを決めておくのである。そうして一定以上のポイントを獲得した従業員を表彰するというルールがあれば、不満が出ることはまずないだろう。
表彰制度と、賞与や昇給・昇進・人事考課などは切り離して考えていただきたい。むしろ、そうした人事労務面とは別の次元で、「会社は一人ひとりの従業員のことをこれだけ考えているんだ」という経営者の思いが伝わる表彰であることが望ましい。それが会社への忠誠心が強くなることにもつながるのである。
独立・起業、もしくは「のれん分け」を、会社として支援するのも有効な方法だ。自分で起業しようとする人は、非常にモチベーションが高い。起業するまでのあいだ、実績を残そうとして人一倍努力してくれるものである。当然、同じ業界であるから、独立後には協力業者として付き合っていくこともできる。その人の能力が高ければ、会社にとってもプラスになるに違いない。
サラリーマンの方々には、会社に勤めて10年くらい経ったころに、自分のキャリアの棚卸しをすることをおすすめしたい。35歳くらいまでなら、再就職できるチャンスもある。独立できるかどうかを判断したり、この会社で骨を埋める覚悟を決めたりできれば、後悔のない人生を歩むことができるのではないだろうか。
「敗者復活」のチャンスをつくることも、会社としてぜひ検討していただきたい。敗者復活の機会がなければ、その人のモチベーションは下がり、最低限の仕事しかしなくなるだろう。反対に、敗者復活できることが分かっていれば、過去の失敗を取り返し、その会社で再び活躍できるように努力する人が増えるはずだ。
社内で何らかの文章を作成したり、新しいアイデアを考案したり、新製品を開発したりした人については、きちんと名前を出していくことが大切である。名前を出してもらうことで、やはりその人は承認の欲求を満たすことができる。やる気が高まり、仕事の質も高まる。名前を出してもらえると思ったら、アイデアを「出し惜しみ」することもなくなる。個人も会社も喜ぶという意味で、「名前を出す」のは非常に効果が高いのである。
周囲からの評価は、ふだん見えていない「自分の姿を見る鏡」であるともいえる。認められることによって、自分のよさを知る機会が得られるのだ。よさを知れば、喜びにもつながるし、さらに自分のよさを伸ばしていこうという動機にもなる。
海外の企業を見ていると「個人をうまく生かしているな」と感じることがよくある。その理由を探ってみたところ、個人の仕事の分担・範囲がはっきりと定められ、その範囲において、末端の社員まで権限が委譲されていることが分かった。個人の仕事の範囲が明確であることから、個人の責任の範囲も明確となる。同時に、たとえば予算を使うような案件でも、認められた範囲内において、個人の裁量で判断できる。
日本では、個人の仕事の分担も責任の範囲も明確でないことが多い。部下に仕事を任せる立場である上司にしてみれば、一人ひとりの部下の仕事の範囲が決まっていないことから、ついつい細かいところまで口を出してしまいがちだ。部下の立場からすれば、自分の仕事に対して最終的な決定権を持たされていない。つまり権限が委譲されていないため、何でも上司に相談し、上司に頼らざるをえなくなる。個人に責任も権限もなければ、モチベーションも上がらず、個人がうまく生かされない状況が形成されてしまうのである。
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太田肇(おおた はじめ、1954年12月8日 - )は、日本の経営学者。専門は組織論。経済学博士。兵庫県出石郡資母村(現:豊岡市)出身。 神戸大学大学院経営学研究科修了。三重大学人文学部助教授、滋賀大学経済学部教授を経て、2004年に現職である同志社大学政策学部に教授として就任。個人尊重の組織論者として知られ、個の視点から組織や社会について幅広く発言している。 『「外向きサラリーマン」のすすめ -ポスト成果主義の時代をどう生きるか-』 (ISBN 4-02-250098-0、朝日新聞社、2006年) 『認められたい!-がぜん、人をやる気にさせる承認パワー-』(ISBN 4-532-31222-1、日本経済新聞社、2005年)
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