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川野幸夫の名言58件

良い企業は「高収益」「顧客密着」といったエクセレントであるだけでは不十分です。尊敬される存在になることが欠かせない。
想いからすべてが始まる。想いがすべてなんだ。
一番大事なことは、ぶれない経営哲学です。「売れればいい」「儲かればいい」ではなく、「何をすればお客さまが喜んでくれるのか」。それを追求し続けることが存在理由であり、目的です。その目的を実現するためには、「商いのコンセプト」をはっきりさせることが大切です。
多くの競合スーパーは「コモディティー(汎用品)・ディスカウント型」の戦略をとっていました。同じ商品がほかの店よりも安いことで集客する「価格訴求型」です。汎用品はどこでも手に入るので、必然的に安売りの罠にはまってしまう。
本当にお客様は安さばかりを求めているのか。決してそうではないと私は思いました。むしろ多くの日本人は食に楽しみを求めている。バブル期まで続いた経済発展で、豊かな生活を体験して舌も肥えていたからです。そこでヤオコーは「豊かで楽しい食生活」を提供しようと考えました。
正直言って、売上高ナンバーワンのお店で戦略転換を実験するのはリスクが大きい。でも何かに挑戦をする時は、小さな実験ばかり繰り返しても仕方がありません。
当時ヤオコーで売上が一番大きかった狭山店を全面改装し新しい戦略を試したことについて語った言葉
経営する側の立場からは、本部主導の方が、店舗を管理しやすいのは当然です。指示を出せば、すべての店舗がそれに従う。しかしそれでは店舗が画一的になりがちで、地域のお客様の多様なニーズに応えることができません。
店長は一般的に「ストアマネジャー」と呼ばれ、直訳するとお店の管理者ですが、それだけだとヤオコーでは店長失格です。店長は「店主」でなければならない。どういう売り場にして、どのような商品を並べれば、地域のお客様は喜んで買ってくれるのか。店長が店舗の従業員を巻き込んで考える様々なアイデアが、利益を大きく左右します。
生鮮品は売り切れるかどうかが勝負です。現場でお客様にアピールする知恵が生まれないと、店舗の廃棄ロスが増え、売上高総利益率(粗利益率)が悪化します。「全員経営」で、各店舗の店長やパートナー(パート社員)さんが売れる商品の品揃えや提案を日々考えることが、ヤオコーの利益率の高さにつながっているのです。
小売業の売上高は客数と客単価のかけ算です。下限商品やEDLP(エブリデイ・ロープライス)の強化は集客につながります。来店したお客様の中には、ヤオコーの売り場を見て、「おっ、こんな楽しい提案がある」と思って、当社が得意な価値の高い商品にも手を伸ばす人が出てきます。こうして売上高が増えるのです。「豊かな食生活を実現する」という商いのコンセプトは何ら変わりませんが、間口を広げる取り組みは、生き残りに欠かせません。
日本のGDP(国内総生産)の3分の2は個人消費が占めます。生産から販売に至るサプライチェーンの中で、生活者の一番近くにいるのが小売業です。それでも日本は生産者=メーカー重視の伝統が強く、小売業の地位は今も低い。ヤオコーを発展させることで、そんな文化を少しでも変えたいと思っています。
なぜ当社がパート社員をパートナーさんと呼ぶのかと言うと、全員で商売をするための「仲間」だからです。共に働く、対等な存在として敬意を持って、パートナーさんと呼んでいます。
パートナー(パート社員)さんが大事なのは、当社が、店舗が立地する地域に合わせて売り場や品揃えを変える「個店経営」を掲げているからです。お客様のニーズを最もよく理解しているのは、従業員であると同時に、地域の消費者でもある主婦が中心のパートナーさんなのです。だからこそ、パートナーさんが主体になって商売をする必要がある。売り場づくりから商品の発注、値引きを含む価格決定も任せています。
スーパーは労働集約的な産業です。現場がどれだけ頑張ってくれるのか、意欲を持って働いてくれるのかが、販売を左右する。つまりモチベーションを高く持ってもらうことが、商売を成功させるカギとなります。
「日本一元気な食品スーパー」とヤオコーが言われるのは、パートナー(パート社員)さんたちが生き生きと働くからで、それが会社全体の好業績の原動力です。
私が気をつけているのが、漠然と「良かった」と褒めるのではなく、アイデアや努力の優れている点を具体的に評価することです。「発注システムの課題を見つけて、欠品を削減しました」「お客様データを分析して、商品の提案方法を変えて、販売を伸ばしました」といったふうに伝えます。表彰されるパートナーさんだけでなく、聞いている経営幹部や店長たちにも、何が大事かをきちんと認識してほしいからです。
「3人寄れば文殊の知恵」という言葉がありますが、ヤオコーの場合は、「100人寄れば、文殊の知恵」です。1店舗当たり通常100人以上いるパートナー(パート社員)さんが生み出す知恵の数々。いいアイデアは、ほかの店舗にも広げていきます。
改善活動の仕組みはパートナーさんの働きがいにもつながります。小売業の喜びは、自分たちの努力がお客様の反応として返ってくることにあります。経営学者のピーター・ドラッカー氏はこう語っていました。「統制や命令による仕事では、喜びは得られない」。まさにその通りで、主体的に働くことで、喜びは生まれます。
パートナー(パート社員)さんが「自分が何を期待されているのか」をどう意識するかで、戦力化が進むか進まないかが決まる。パートナーさんをコストとして見ると、戦力にはなりません。本人のキャリアを考え、「本気で期待している」と伝えることが、意識を変えるのです。
人間は自分ができることが増えて「腕前=スキル」が上がると、ものすごくうれしい。だからパートナー(パート社員)さんのスキルアップにつながる教育や訓練をする機会を充実させています。キャリアアップの成果がお客様に向けられて、働く人の喜びにつながり、次の成長機会につながります。せっかく働くなら、楽しく働くことが大事です。努力が認められていると感じるのは仕事のやる気にものすごく関わってきます。
パートナー(パート社員)さんの頑張りには、会社として最大限報います。時間給を支払うだけでなく、夏冬のボーナスも支給。さらに決算で目標とする売上高経常利益率を超えた場合は、決算賞与も支給します。パートナーさんの責任と努力に応じて、金額に差はありますが、できるだけ公平感がある形で評価して支給します。
競争が激化する一方のスーパー業界で、ライバルと差をつけるカギになるのは「人」だと私は強く信じています。パートナー(パート社員)さんを含む従業員一人ひとりが仮説を考えて、売り場や品揃えを工夫して、効果を検証する。この繰り返しの中で人は育っていきます。それこそが当社の競争力の源泉で、私はヤオコーのパートナーさんは日本一だと思っています。
私たちはそれまでずっと「ポイントカードは麻薬だ」と言ってきました。「ポイント5倍デー」といった販売促進策による実質的な値引きの強化とは、競合スーパーとの泥沼の価格競争を加速させるだけだと考えていたからです。それなのになぜヤオコーカードをつくり方針を転換したのか。このプロジェクトを担当した現在の社長らが、米国のスーパーなども研究し、「お客様の購買動向の分析にポイントカードは欠かせない」という結論に達したからです。どのような属性のお客様が、どんな商品を、どの時間帯に買っているのかといったデータを従来は把握できていませんでした。
ヤオコーが目指す「豊かで楽しい食生活とはこういうものだ」と店長が理解するには、それがきちんと実現できているお店で勉強するのが近道です。そこで、店長塾では店長たちを成功しているお店に派遣。1日売り場を見てもらって、疑問点や気づいたことをその店舗の店長にぶつけてもらう。こうすれば、漠然としていた目指す店舗の姿を、具体的に理解できます。
昨年、食品スーパー大手のライフコーポレーションさんと提携したのも、ヤオコーの社員を鍛える目的があります。異なる企業文化や人材と切磋琢磨してほしい。そのために双方の社長や部長クラスが定期的に情報交換する機会を持っています。
「このままでは、ヤオコーがゆでガエルになってしまう」。実はそんな強い危機感を私は抱いていました。ヤオコーはこれまでずっと増益が続いています。毎年、決算賞与も出て、周囲からも「すごいですね」とおだてられる。厳しい状況に直面せずに会社が成長すると、社員に油断も生じます。ヤオコーの社風は家庭的で、仲がいいのですが、逆に言い訳が通用したり、甘えが生じたりする部分もあります。温かい社風はこれからも必要ですが、競争が激しくなる中で厳しさも求められている。
「経営理念」は重要です。単なるお題目ではなく、それを社員やパートナー(パート社員)さんを含む全員に浸透させ、行動に結びつける。それこそがヤオコーの競争力の根底にあります。
「経営理念が大事」とは、どの企業の経営者も口にすることですし、当たり前に思う方もいるかもしれません。しかし理念を会社の隅々まで行き渡らせるのは簡単ではなく、それをどこまで徹底できるかが、長い目で見た場合、ライバルとの差につながります。
ヤオコーの経営理念は「生活者の日常の消費生活をより豊かにすることによって、地域文化の向上・発展に寄与する」です。つまり業績を伸ばすことよりも、私たちのお店が存在することによって、お客様の暮らしを少しでも着実に向上させる。そして、お店で買い物されるお客様に、喜びを感じていただく。それが最優先です。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、心からそう信じて働けば、結果は違ってくる。
経営理念や創業の精神を、どうやって全員で共有するのか。会長である私自身が「伝道師」となって、従業員に伝えていきます。そのためには経営者が現場を離れてはいけません。私は、毎週日曜日に7~8店舗を訪問します。全部で125店舗あるので、年に3回以上は必ずすべての店舗を訪問します。こうした店舗訪問を40年以上続けてきました。従業員とじかに顔を合わせるコミュニケーションがとりわけ大事です。
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