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安藤宏基の名言47件

昨年は、不況下における成長期であるという位置づけでやってきました。過去の実績をみてもそうなのですが、インスタントラーメン・ビジネスというのは不況期に伸びるものなんです。ですから、攻めの計画を立て、その計画を達成してきました。
一般の消費者のみなさんは、インスタントラーメンなんて古い産業で、技術的には限界にきている、世界中に拡大しているものだから、もはや新しい技術など出てこないと思っておられるでしょう。しかし、インスタントラーメンの技術は、世界市場ということを考えれば、まだ発展途上なのです。企業の技術力の向上は、もう開発し尽くしたと考えて立ち止まるか、いやまだまだ先があるんだと考えて挑戦し続けるかによって、大きな差がつくものです。
これはどの産業も同じことだと思いますが、パラダイムシフト(価値観の変動)が起こってイノベーション(革新)のディレクション(方向)が変われば、ほとんどゼロからのスタートになるわけです。エネルギー産業なんてまさにそうでしょう。化石燃料から、ゼロエミッション、CO2を出さないクリーンエネルギーに転換していくとなれば、まったく新しい技術を開発する必要がある。考え方次第で、どんな産業にもイノベーションの余地は無限にあるのです。
インスタントラーメン業界が誕生してから今年で52年になりますが、工場や設備の老朽化が進んでいる。それらを刷新するために、3年間で約750億円の設備投資を行ないます。ラーメンの会社がこんなに巨額の設備投資をやるなんて想像できないと思いますが、これができるのも、付加価値創造型の技術が生まれて、それが利益を生んでいるからです。つまり、技術革新がドライブ・コア(原動力)になって、そのエネルギーでリノベーション(刷新)を一気に進めていくのです。
創業者(安藤百福)は、ひとつ達成すると、もう次のことを考えている人でした。ですから、達成したときに満足や喜びに浸るということがなかった。カップヌードルを開発したときも、周囲の人がみんなすごいすごいといってくれるのに、本人はもっとよくなるはずだと。つねに現状不満足だということです。
ひとつのことを達成すると、それはすぐ常識になってしまうわけですね。当たり前のことになってしまう。すると、もっとよくできるはずだと不満が湧いてくる。本当は何かに成功したら、その気分を長々と味わっていればいいのでしょうが、すぐに次の不満が出てくる。
何かに成功したときに、「やった-」といって長々と達成感に浸っているのが一番幸せな生き方なのかもしれませんが、残念ながら経営者というのは、みんなが浮かれているときには将来の不安を指摘しないといけないし、みんなが落ち込んでいるときには夢のある話をしないといけない。ただ、マクロ的にみて、そうすることがいい結果をもたらすんだと思えばこそ、いつも反対のことばかりいいつつ、反対のことをいっている自分に満足しているというか……。いずれにせよ、経営者というのはあまりいい商売ではありませんね(笑)。
組織をデザインするときには、こうすれば社内競争が起きるかなと、そういうことは考えますね。
ある社員はカップヌードルをやりたいと思っているし、ある社員はカップヌードルをぶつ潰したいと思っている。ある社員はカップヌードルにすがりたいと思っているかと思えば、ある社員はまったく新しい商品で勝負したいと思っている。つまり、社員の目標はバラバラ、思考回路もバラバラなのです。だったら、それぞれの社員がそれぞれの目標を徹底的に追求できるようにしたらどうかと。社員の目標を妨げない。やりたいことを徹底的にやらせる。その代わり自分の目標を貫徹しろと。そうしたら、自然に競争が起こってくるだろう。これがBM(ブランド・マネージャー)制度のそもそもの狙いなのです。
個々のBM(ブランド・マネージャー)がもっている目標を徹底的に貫徹させると、いろいろなところに影響が波及していきます。一番影響が大きいのは営業でした。営業は基本的に、やっぱり売れるもの、儲かるものだけをやりたいわけです。すると、どうしてもカップヌードルということになる。他の商品なんてどうでもいいと。そうなると、新しい商品で勝負したいBMは自分たちで営業ルートを開拓せざるを得ない。BM自ら、小売店のバイヤーに直談判にいくわけですよ。これはたしかに越権行為なのですが、そう考えるのは日清食品の営業部であってね、相手のバイヤーがどう思うかはわからない。営業マンの営業トークを聞くより、BMの情熱的な話を聞くほうが面白いかもしれない。よしその商品は面白そうだ、他社に卸さずにウチだけに納品しろと、そういう反応も出てくるわけです。
競争にもいろいろあるが、政党の世界や一部の官僚的な社風に染まった大手企業に見られるような派閥の争いは大嫌いだ。親分が出世したら子分も分け前をもらう。親分がこけたら、下についていた全員がこけてしまう。そんな保身的で、ギャンブルのような競争は、会社組織にとっても役に立たないし、人間の生き方としても邪道である。最初に私が考えていたのは、社内の全組織を巻き込んだ競争構造だった。
自分の担当ブランドの売上を伸ばすためなら、隣のBM(ブランド・マネージャー)のブランドとシェアを奪い合う、いわゆる力ニバリ(共食い)を起こしても一向にかまわない。商品開発にあれはやってはいかん、これはダメというような制約はない。
いま、日清食品単体で年間300を超える新製品を発売しています。出してみて、消費者にリジェクト(拒否)されるかアクセプト(同意)されるか。こういうことでしょうな。最近はリジェクトされる方が多くて、販売期間が1年を超えるものは全製品の中で、2アイテムぐらいしかありません。具体的には、「太麺堂々」や「カップヌードルごはん」ですね。
マーケティングは、いわばアートですよ。論理構成は立てるけど、消費者のメンタルモデルは違う。一人一人の心は矛盾だらけなので、いくら社会心理学的に分析しても詳細までは把握できません。例えば中核の商品は縮小傾向でも、カップヌードルごはんなど部分的には拡大しているものもある。あとは勘所ですな。カップ麺から袋麺に需要がシフトしているといった動きは、肌感覚で分かります。
ブランドマネジャーが提案してきた時、「カップヌードルごはんと言いながら、麺が入ってないじゃないか」と言ったんです。少なくとも、そばめしぐらいの形を取れよ、と。それでも「私はカップヌードルの残ったスープにご飯を入れて食べるんです」と主張するものだから、分かった、好きにやれと。提案が担当者自身の言葉になっているときは、説得に負けますね。
いま、日清食品ホールディングスにはマーケティング統括部や宣伝統括部など18部門があり、新製品発売といったときには各部門のトップを説得する必要があります。彼らの平均年齢は55歳ぐらいです。一回りほど年上の社員の固定概念を突破するには、ものすごくエネルギーが要る。だから、ブランドマネジャーは若くて情熱がないとダメです。
初歩的なミスは教育的指導をしないといかんけど、読めないこともあるし、やむなしということも多いんです。失敗の中に成功要因はない。成功のノウハウは別なんです。だから、責任の所在さえ明確にすれば、チャレンジする機会はいくらでも得られるようにしているんです。
役職は本社の方が高いので偉そうに見えるけど、君たちはサポート部門なんだぞと。私の目が光っていれば、彼らは動かざるを得ない。「日本にいるな、必要とあれば現場に出ていけ」。そういう命令をするのがCEO(最高経営責任者)の役目です。
「肌感覚のないやつはダメだ」「自分の言葉で話せ」と常々社員に言っていますが、社長も現場に下りていかないとダメです。ホールディングス化を果たして、これで楽になるかと思ったのですが、結果的には逆に忙しくなりました。放っておくと「任せておいてください」とか甘いこと言われて、はしごを外されるから気をつけないといかんのですよ。だから社内でも毎日、各フロアを行ったり来たりしています。
僕は、インスタントラーメンは地球を救うと思っているんです。保存が利くし、食べたい時に食べられる。世界の全人口70億人のうち、飢餓人口は9億2000万人に達すると言われています。アフリカを中心に、10億人近く、まだ飯が食えなくて餓死している人たちがいる。BOP(低所得者層)の問題を解決しない限り、平和はありません。北アフリカの民主化運動というのも、要するに食えないからです。それで平和になるわけがない。当社の創業者が残した「食足世平(しょくそくせへい=食が足りてこそ世の中が平和になる)」という言葉は、全くもって正しいと思います。
BM(ブランド・マネージャー)はローテーションでやるような仕事ではありません。もう、これをやりたくて仕方ないという情熱を持った人間でないと、とても勤まりません。ですから、BMは社内公募制をとっています。係長クラスの若手もやりたいといって手を挙げる。そういう熱意のある人材に一回やらせてみようというケースが多いですね。
組織というものは異分子をはじき出してしまう性質があります。人間の身体と同じで、ウィルスが入ってくると抗体ができ、抗体がウィルスを追い出してしまうわけです。しかし組織には、異分子が2割ぐらい生息していないと駄目なのです。組織が生き残るためには、異分子が必要です。生物の種と同じで、異分子を抱えている方が強いのです。
BM(ブランド・マネージャー)制は、BMがやりたいことを社内のあらゆるセクションがサポートする仕組みですが、逆に考えればBMが直接折衝しなければならないセクションがたくさんあるということです。折衝先のセクションは言いたいことを言いますよ。「世の中そんなに甘くないぞ」と。そういう壁を打ち破るだけの情熱がなければ、BMは務まりません。何が何でもガムシャラにやる。そんな、燃えてる奴でないと駄目なのです。
毎月、解剖会議というのがありまして、失敗した場合にはなぜ失敗したかを徹底的に解剖して、個人がつくった損失の額を明らかにしています。それを個人の借金として計上していきます。4回も5回も失敗して、何億も借金を積み上げている人もいるし、一発で大穴を開けた人もいます。小さい穴をたくさんあけている人もいます。これは本当に返せというわけではなく、定年退職するまでにはこれまでの穴を埋めてくれよという意味です。
もう20年も前から、毎年、私が課長職の人間一人一人を面接して年俸査定をしています。そのなかで、やりたいこと、目標にしていることをじっくりと聞いていきます。当て着せで強制的に仕事を与え、社内競争を煽るだけでは、個人のパフォーマンスは絶対に上がりませんから、一人一人丁寧に面接をしています。
ある社員がこの仕事はつまらない、こんな仕事をやっても評価されないから損だといったとしましょう。しかし見方を変えると、その仕事をやることが将来ものすごく役に立つという場合もあります。あるいは、自分の仕事は歯車のひとつにすぎないという社員もいます。そういう社員には、企業がどんな形をしていて、どういうメカニズムで動いているかを解析してやる必要があります。それがわかると、自分の仕事の価値を自覚できるケースもあります。
私のモバイルには、管理職社員のあらゆる情報、家族構成、健康状態、前回の面接での約束など、何から何まですべて入っているのです。ですから、社員の方も取り繕うことはできません。いずれにせよ、一年間、必死で仕事をして苦しい思いをしてきた人は、考え方が練れて目の色が違ってくるし、一年間遊んでいた人はそれなりの顔つきをしています。これは面接をすればすぐにわかります。
一番大切にしているのは、「自分の言葉で話せる」ということです。比喩が多いのはいい、リファレンス(参照)が多いのもいい、昔誰々がこう言ったとか、本にこんなことがあったとか、それはそれでいいのです。しかし、最後は自分の言葉で話せなくてはいけません。
会社組織は効率を追求します。これはこれで大切なのですが、効率ばかり追求していると、社員がいわゆる金太郎アメになってしまいます。同じことを考えている人間ばかりの方が、意思決定のスピードが速いですから。しかし、金太郎アメ社員しかいない組織は、環境変化への対応力が弱い。
優秀な人材を育てるには会社の機能を細分化し、その部門の責任を持たせるのが一番よい。責任を持っていろんな仕事に挑戦していくことは企業活性化にもつながる。安住していては社内が保守化官僚化する。知恵を出せ、核分裂してみんなが会社の社長になれ。
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