名言info

福地茂雄の名言38件

新しいことにチャレンジしない組織というのは死を意味します。ですから新しいことにチャレンジするのは当然なのですが、大事なことは、新しいことをやる前に、何をやめるかということです。何か新しいことを始めようと思ったら、何かをやめる。それを勇気を持って実行することが大事なのです。
企業にとって一番大事なのは経営理念じゃないでしょうか。自分たちの組織は何を目指しているのか、そのためにどういう戦略を立てるかといったことですね。「経営理念は建前で、現実の面は本音でやっていこう」という声を聞きますが、それでは組織はうまくいきません。
運とツキというのは、神様が誰に対しても公平に与えているものなのです。問題は、その運やツキをつかむか逃すかなのです。自分の持ち場で、自分のやるべきことを、やるべき時に、キッチリとやっていたら運は逃げません。それをやらないから運やツキが逃げるんです。
誰でも努力すれば、破れない壁はない。
30代中ごろ、名古屋支店で課長に就き、初めて管理職になったとき、尊敬していた名古屋支店長とのやり取りを今でも鮮明に覚えています。喫茶店で支店長から課長としての抱負を聞かれ、「自分ができることは、部下にも徹底して求めます。自分ができないことを部下に求めるのは卑怯だと思うのでできません」と答えました。すると支店長は「それでは管理職としては落第だよ。君のコピーばかりになってしまう」と私を叱りました。自分ができないことを部下に求めてもよいというのが課長の意見でした。
上司から求められれば、部下は何とか達成しようと成長します。上司の私ができることしか求めないのでは、部下は私以上に成長することはないのだと名古屋支店時代の上司から教えられました。これ以降、私は出藍の誉れ(弟子が師より優れること)を意識して、バトンを渡せる人材を育成することが大事だと考えるようになりました。
王貞治さんは4番バッタ-でしたが、監督になれば打撃だけを見ればよいというわけではない。監督になった以上はすべてのポジションに対して一流を求める。人を育てるというのはそういうことです。
総論と各論を使い分ける管理職も、部下は離れていきます。総論ではかっこいいことを言っておいて、その時々において各論を変えるような人の背中には、安心してついていけませんからね。
指導者を育てる場合は、カミソリではなくナタを意識したほうがいい。カミソリは身近にあってよく切れるから重宝されます。ですが、木は切れません。ナタは重くて使いこなすのが大変ですが、木を切り倒すことができます。大きな仕事を任せられるのは、こうしたタイプです。少々不器用でも、最後は仕事を成し遂げる。会社を変革できるのは、カミソリでなくナタなんです。管理職は、その人材がカミソリなのかナタなのかを見極めて、育て、使いこなさなければなりません。
好きな言葉に「心は形を求め、形は心を進める」というものがあります。仏教の有名な教えのようで、電車通勤をしていたとき地下鉄の駅に掲示されていた仏壇店の広告看板で知りました。通勤で毎日眺めているうちに、いつしか心に残る言葉になっていました。私の父は熱心な日蓮宗の信者で、お経をあげることにかけてはプロであるお坊さんより上手なほどでした。一方、母が仏壇の前でお経をあげている姿を見たことはありません。ですが毎日欠かさずに朝4時前にお供えをしていました。先祖を大切に思う気持ち、心身の気持ちは父母ともに変わりはなく、父は「形」から入り、母は「心」から入る。表裏一体だったわけです。
NHK会長に就く直前、記者によるインサイダー取引事件が明らかになり、NHKへの信頼は地に落ちてしまいました。コンプライアンス(法令順守)の体制確立と職員の意識改革が喫緊の課題でした。倫理委員会や倫理規定などの形を整えても、心に落とし込まない限り何も解決しません。
意識改革のためにはトップが職員に直に会って、コンプライアンス(法令順守)の大切さ、重要さを説く必要があると判断し、各地の放送局や部局を回りました。
意識改革について同じ言葉を何度も繰り返す日々にしんどい思いもしましたが、職員の意識が徐々に変化していくのがわかりました。
どのポストにあっても、私は疑問があるとすぐに現場に出掛け、自分で確認するようにしています。NHKでは、解説委員室でどんな議論がなされているのか、選挙の開票速報に欠かせない出口調査はどうやって行っているのか。知らないことがあると現場を訪ね、自分で確認するようにしていました。これは職員たちを信用している、していないの問題ではなく、自身の目で見て、現状のやり方でいいのかどうかを自分なりに判断したいからです。現場主義で行動して自分なりの見解を持っていれば、何を言われようと確信を持って答えることができます。「~と聞いていますよ」じゃ説得力がありませんからね。
アサヒビール社長時代、コンビニエンスストアの社長と話をしていて、「一番の売れ筋商品は何ですか?」と聞くと、「おにぎりです」という答えでした。同じ日に外食チェーンの社長に会ったので同じ質問をすると、「おにぎりです」と同じ答えが返ってきました。まったく異なる業界で同じものが売れている。面白い現象だと思いました。ひとつの業界だけを追っていては見えないことがあります。売れ筋がおにぎりというのも、情報を共有して初めてわかることです。そうすると、「食べる場所が異なっても選ばれるのはおにぎり。では、どのようなおにぎりを開発すればいいのか」という視点から商品開発ができます。ここにビジネスチャンスがあります。縄張り意識が強くては発見できない事象が増えているのです。
アサヒビールの東北統括本部を視察したとき、8つのグループ会社がひとつのフロアにあって、「これはいい!」と本部長を褒めたことがあります。アサヒビールの営業、経理、総務だけでなく、グループ会社もついたてで仕切っただけで同居しています。まさに垣根がないのです。
グループ会社も含め、ひとつのフロアに一緒にいれば、商品の売り方も柔軟になります。たとえば、ビールテイストのノンアルコール飲料はアサヒビールが販売していますが、飲料部門からもよい提案が出るかもしれない。また、飲料部門の主力商品「三ツ矢サイダー」から派生した「三ツ矢サイダーキャンディ」は食品部門が取り扱っていますが、相乗効果がもっと出るかもしれない。オフィスの壁と同時に心の壁を取り払い、組織文化を共有することが、強い会社を生み出します。
人間は背骨が弱くては長く立っていられません。同様に企業も、背骨、つまり縦軸の組織が強ければ強いほどいいと私は考えます。ただ、強い背骨(縦軸)にあばら骨(横軸)が入らなければ、縦軸の強さが生かされません。部門、業界を超えたコミュニケーションを図り横軸を強化することが大切なんです
物事を判断するときは「顧客満足」でふるいにかけるのが、私のひとつの信念です。
管理職には、「部下に顔色を読まれるな、信念を貫き通す真っすぐな背中だけを見せろ」と言ってきました。部下は背中、つまり生きざまが尊敬できる上司についていきたいと思うものです。一方、上司の顔色ばかりうかがっている部下は、やがて離れていきます。
日本人は立派な家に住むようになったけれど、家族は崩壊している。家族の絆というものがない。てんでばらばらです。ある外国人が本に書いていましたけれども、台湾や中国の家庭では、おじいちゃんの誕生日には世界中から家族が十人、二十人と集まってくるという。だけど日本では、おじいさんとおばあさんが二人で誕生祝の食事をしている。心の問題というものを、今一度考えるべき時に来ていると思うんです。
日本は国家という形は立派にあるけれど、国家としてのアイデンティティがない。日本という国に対する心がぜんぜんない。企業も、世界に冠たる大企業であっても、CSR(企業の社会的責任)をどこかに置き忘れている企業が多い。企業に心が求められていると思うんです。
会長就任から2年間、私は「変えないのは視聴者目線で番組をつくろうという一事だけ。それ以外は全部変える」と宣言し、全力で経営にあたってきました。部下にはいつも「何を変えるか」ではなく、変えることを前提に「どう変えたらいいか」から考えてくれと言っています。
異業種に飛び込むことになったので、多くの人が「大変じゃないか?」と心配してくれました。しかし、考えてみてください。私がビールをつくっていたわけではないし、番組をつくっているわけでもありません。経営の仕事とは、職員に気持ちよく働いてもらうことと経営資源を適切に配分することです。業種が多少違っても、することに変わりはありません。
私のように外からやってきた者の方が、内部にいた人よりも、従来の仕組みを大胆に変えられるという利点があります。
いまはあらゆる分野に変化が起き、しかも変化の奥行きが深く、スピードも速いという三次元の変化の時代です。私たちは変化に流されることなく、適応していく必要があります。流されることと適応することとは大きく違います。適応するためには、確固たる判断の軸足を持っていなければなりません。
右肩上がりの時代であれば、判断基準は常識もしくは経験則でよかったのです。しかし、いまはスパイラルの時代です。今回は前回の繰り返しではないので、経験を参照することができません。つまり成功体験が役に立たないということです。また年度によって業績が上下しますので、定量的な経験則も成り立たないのです。
平均点思考が通用しなくなってきています。業界全体がよくなったり悪くなったりするのではなく、たとえば業界全体のパイが1割減るとしたら、業界を構成するすべての企業が売上を1割落とすわけではありません。業界全体の趨勢とは別に、売上を伸ばす企業もあるのです。すると、何年かの間に下位企業から脱落していくことになるでしょう。勝ち組と負け組との二極化現象が進むのです。
NHKに入ってから早くも2年目になります。「改革を山登りにたとえると、何合目くらいになりますか」という質問を受けるようになりました。しかし、山を登っている人には頂上は見えません。登山者は、いま何合目にいるかわからないのです。それが見えるのは、山頂から見ているお客様です。
風任せ、潮任せの経営をするわけにはいきません。もし計画なしにNHK丸を出港させれば、3年後にはとんでもない港に着いているかもしれません。そこで、3年先にどこの港に船を着けるのかという目的地を中期計画ではっきり示し、毎年の年次計画では、その航路から外れていないかどうかをチェックすることにしました。
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