名言info

三谷宏治の名言53件

コンサルタントの仕事では、顧客企業のさまざまな部署や立場の人たちにインタビューをします。たとえば、新たなプロジエクトの始動に当たって、「あなたの部署には、どんな問題がありますか?」ということを聞きに行くのです。たいていの場合、インタビューの機会は一度きりで、時間は60~90分程度。しかも、初対面の相手です。そんな一期一会の場面で、どうすれば相手の信頼を得て、本音を聞き出せるか。コンサルタントに警戒心を持つ人も多い中で、「私に話しても、情報を悪いように使ったり、あなたの立場を不利にしたりするようなことはしませんよ」と伝えなくてはいけません。ですから、私なりのマナーとして第一に心がけていたのは、いきなり用件から入らないこと。60分の時間をいただいたら、最初の10~15分は、信頼関係を築くための雑談をします。
コンサルタントとして相手に信頼されるためには、「この人は役に立つ」と思ってもらうことが必要です。加えて、「嘘をつかない」「誠実である」といった人間性も求められる。そして、自分がこの二つを併せ持つ人間であることを示すには、実は「相手にとって嫌なことも、ちゃんと指摘できること」が重要なのです。すると相手も、「この人なら、自分たちが普段見落としていることに気づいて、フィードバックしてくれる」と思ってくれるかもしれない。そうすれば、私は相手にとって役に立つ人間になれるのです。
私は、顧客に会うときの服装を、あえてラフにしています。ベージュのスーツだったり、ジャケットにパンツを組み合わせたり、ノーネクタイだったり。これは「私はあなたがたと同じ存在ではない」と伝えるためです。ダークスーツが常識だと思っている人たちに対して、「私は常識どおりの仕事はしません。コンサルタントとして、社内の人間とは違う視点を持ち、異なる意見を言える人間です」ということを、服装で伝えるのです。これは確かに、ハイリスク・ハイリターンかもしれません。人によっては、失礼だと感じる人もいるかもしれない。しかし、何らかのチャレンジをしなくては、信頼というリターンを得ることもできないのではないでしょうか。「自分はこういう存在なのだ」と売り込むことが、結局は、相手の信頼を得るための一番の方法なので。
会話で誰かの悪口を言うと、「この人は、他所で自分の悪口を言うのではないか」と思われてしまいます。「あなただけにお話しするのですが……」という話し方も、「他所でも、こういう話し方をしているのだろうな」と思われます。すると、「この人は裏切るかもしれない」と思われて、信頼してもらえません。
たとえインタビューという名目でお会いしても、ただ情報をもらうだけではなく、こちらからも相手にとってプラスになるものをお渡しすること。それが貴重な時間を割いてくれた相手へのマナーではないでしょうか。
私はずっと、他人に頼られ、任される人間になりたいと考えていました。でも、30代後半になった頃、相手も同じ気持ちなのかもしれないと気づいたのです。私だけが一方的に頼られることを目指すと、相手は「また頼ってしまった」と不安になり、相手に依存しているような気持ちになります。ようやくそのことに気づいてからは、あえて相手に頼ることを心がけるようになりました。自分から進んで、わからないことを教えてもらったり、困っていることがあれば相談したり。若い頃なら「自分の頭では何も考えられないのか」とバカにされるかもしれませんが、キャリアを積んで仕事上のポジションや能力が上がれば、相手も「この人が頼ってくれているんだ」と喜びを感じてくれるものです。
完全無欠の人間になることが、他人の信頼を得る方法ではありません。ある程度の実績や経験を積んだら、ときには相手に頼ってみるのも、ひとつのマナーだと考えてみてください。
32歳のとき、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の同僚であった遠藤功さんの誘いでアクセンチュアに転職しました。この転職に当時の上司らは猛反対しました。私は基本的には職人気質で、人や組織のどろどろした部分は苦手だし、好きでもないことをわかっていたからです。でも、「BCGにいたら苦手で嫌いなことをやらなくてすむ。だからこそ出よう」と考えて、転職を決めました。
適性のあるなしは実は自分ではよくわかりません。たとえば私がいま取り組んでいる「教育」もそうです。教えることは前から好きでしたが、向いているかなんて考えもしなかった。でもたまたま35歳のとき弟から「兄ちゃんみたいにバリバリ仕事をしながら、かつ教えるのが好きな人は珍しい」と言われ、初めて自分がちょっと特殊な存在だと気づきました。それで「40代以降は教育だ」と決めたのです。
人から言われて自分の方向性を決めるなんて、ずいぶん受け身だと思うかもしれません。でも、だからこそ広がる世界もあります。私は、人から頼まれたことは基本、断わりません。私の気づかない才能を評価して依頼してくれたのかもしれないからです。事実、学校での教育も書籍の執筆も、そうやって広がっていった世界です。
世の中の消費の鍵を握っているのは女性です。男性より消費の感度が高いことに加えて、子どもの消費は母が、夫・彼氏の消費は妻・彼女が主導権を持ちます。食品や日用品、電化製品はもちろん、マンションや自動車などの大型商品まで、女性を意識した商品が多いのは、そのためです。女性の気持ちや感性がわかる人が商品開発に携わらないと売れません。
日本の大企業では欧米に比べて女性の登用が遅れています。経営幹部に話を聞くと、その理由は「経験不足」だといいます。大型プロジェクトを任せられるような女性社員がまだ育っていない、というのです。これは「卵か先か、鶏が先か」にすぎません。女性に経験が少ないのは当然です。これまで大きなプロジェクトを任されてこなかったのですから。
米国のサウスウエスト航空は格安航空会社(LCC)の先駆けとして大成功した企業で、創業者らは銀行家や弁護士など航空ビジネスの素人でした。しかし経験がないからこそ、「常識」を無視した戦略を打ち立てられました。インディ500のピットインを真似て航空機の地上滞在時間を短縮したり、パイロットや客室乗務員が荷物の積み込みを手伝ったりするなど、その手法は型破り。従業員の募集条件は、「経験不問」ではなく、「経験者不可」。つまり「業界のプロ、お断り」です。プロでは柔軟な発想ができないと知っていたからです。
「昔の日本企業は元気があった」といわれますが、それは当然です。当時の主力メンバーは20代、30代の若者でした。ホンダが米国に初めて進出した際も、陣頭指揮をとったのは30代の社員です。なぜなら若い社員しかいなかったから。その苦肉の策が功を奏した。「知らないのに、どうにかなった」というより、「知らないから、どうにかなった」のです。
新しい商品を開発するには、知識を詰め込む「ラーニング」ではなく、身につけた知識や常識を壊す「アンラーニング」が必要です。とはいえ一度身についた常識を払いのけるのは大変なこと。それならば最初から常識のないほうが、飛躍できる可能性が大きい。
大きく失敗したくないなら、チームに一人だけ女性を入れて「女性目線を取り入れた」と言えばいい。しかしまったく新しい商品の開発を目指すならば、メンバー全員を女性(や素人)にするぐらいのチャレンジが求められます。
本来、リスクのあるチャレンジは資本に余裕のある大企業のほうがやりやすい。ところが大企業ほど「失敗を避けたい」という風潮が強い。ベンチャー企業が女性の登用に長けているのは、そうした「社内の理屈」にとらわれないからかもしれません。
ある会社の人事部が「使える新人」と「使えない新人」を分けるポイントを社内調査したところ、使えると言われた新人は皆、子供のころから親の手伝いをしており、使えない新人は手伝いをしたことがないという結果が出ました。つまり、小さいころお手伝いをしていたかどうかが使える人材かどうかを分けるということです。
国の調査によれば、お手伝いを良くする子供は非常に正義感・道徳観が強く、お手伝いをしない子はその逆でした。また、東京都の調査では、お手伝いをしている子は、していない子より問題解決能力が高いという結果が出ました。
他人とのコミュニケーション能力、判断力、洞察力など、企業に採用され評価されるにしても、共通して必要とされる能力があります。仕事に困らない人間になるためには、そうした能力を早いうちから身につけなければいけません。そのためには子供のころの「お手伝い」に優る経験はありません。
「何が一番大切なのか」がわかる形をしっかり作り、例外を認めず実行していくことが、価値観の伝達には大切です。
決断の精度とスピードは二律背反の関係にあると多くの人は思っているようです。しかし、決断のスピードと質は、同時に高め得るものなのです。というのも、なかなか決められないというのは、ほとんどの場合、必要なことをじっくりと考えているというより、思考の仕方が適切でないのが原因だからです。そうなると思考に無駄が多いから時間ばかりかかって、そのかわり答えの精度は低いということになってしまいます。
大事なことや優先順位を間違えるのは、過去の成功や失敗の体験などから思い込みが生じ、客観的な見方ができなくなっている場合がほとんどです。この偏った思い込みから逃れるのに有効な方法は、早めに課題に手を付けることです。不十分でもいいからいったん答えを出し、しばらく時間を置いてから検証すると、思い入れという熱が冷めて、あたかも他人の考えのように、自分の判断を客観的に見ることができるようになります。
会議などで短時間で正しい結論を導き出す方法はあります。それがQ&Aの力です。ポイントはふたつ。
発言者は「一番大事なこと」を見極め、「大戦略(大きな方向性)「効用(中目標)」「手段(最終的に選ぶツールや戦術の優先順位・取捨選択)」の三段階に構造化して案を提示すること。
そのうえで、それぞれの階層の中身について全員で「逃げずに聞き、問い、答える」という姿勢で質疑応答(Q&A)すること。当たり前のことのように思うかもしれませんが、日本で行われている会議の99%はこれができていません。
意思決定のための正しい思考法を身につければ、いまより短時間で、なおかつ正しい判断が必ずできるようになります。それを可能にしてくれるのが重要思考です。所与の状況の中で求められている「一番大事なこと」を見極め、「大戦略(大きな方向性)「効用(中目標)」「手段(最終的に選ぶツールや戦術の優先順位・取捨選択)」の三段階で考えるのです。
日々の仕事や生活の中で、いつも同じような局面で迷ったり悩んだりしてしまう人は、この場合はこうするという「自分ルール」をあらかじめ決めておくといいでしょう。
ゴールにたどり着くために、最も効率的なプロセスを見つけることが重要です。「そもそも何の作業をするのか」「作業をいつ、どれくらいの時間をかけて行うのか」「どの作業に注力して、どの作業で手を抜くのか」を考えることが大切です。
コンサルタント向けの研修で成功事例を共有することがありますが、そこで若手のコンサルタントが質問しがちなのは、なぜそのような分析をしたのか、クライアントはどの点を評価したのかといったコンテンツの中身に関することです。しかし、本当に学ぶべきことは、そのコンテンツを導き出すのに一番ふさわしい段取りは何か、ということです。
人には必ず気分や調子がありますし、ある作業に向いているときとそうでないときがあります。締め切りに追われていれば、その作業に適した状態でなくてもとにかくやらなくてはなりません。でも、早めに手をつけていれば、その仕事に対してやる気の出たときに作業ができるので、その分生産性は大きく高まります。
たとえ上司からの指示であっても、それは上司が机上で考えたことに過ぎないので、実際に現場で行動に移す前に、自分でもう一度考え直してみなくてはなりません。自分なりに目的や方向性を理解していれば、現場で想定外の事態が発生しても軌道修正しながらアウトプットにつなげることができるはずです。
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