名言info

名越康文の名言52件

人間は挑戦していないと、死んでしまう。
雑談で大事なのは「越境する力」です。つまり、自分の持っている経験を相手に投影する能力のこと。この人の言っていることは、自分だったらどうだろう、自分の経験ではどんなときに近かったか、などと考えて異質なものを自分の中に取り込んでいく力です。お互いの共通話題があれば雑談はしやすいですが、たとえそれがなくとも、自分の経験と相手の経験を統合することができれば、雑談は十分可能です。そして本当に大切な雑談力とは、こうした力を指すのだと思います。
質問をすることでその話題を閉ざしてしまう人、ダメにしてしまう人がいます。たとえば、「それって面白いんですか?」「どういう役に立つんですか?」というような質問をする人ですね。相手がいいと思っているものの価値に疑問を投げかけるような聞き方をする。要は、質問のかたちをした否定なのですが、こういう人は結構多い。もうひとつ多いのが、どうすればいいのかというハウツーの質問ばかりする人ですね。実はこういう人は「質問の悪魔」になりやすい。相手からすぐに結論を引き出そうとする、あるいは、自分のプラスになることだけを聞きたいという人は、雑談をしていてもその話題をしぼませてしまうのです。
自分に役立つ情報だけを引き出そうとする質問は相手の主体性を削いでしまいますから、そういう質問ばかりする人からは、次第に人が遠ざかってしまう。でも、自分を尊重して活かすような質問をしてくれる人には、自然と周りの人が引き寄せられていくのです。
私が読書をするとき、手にとる本は二種類に分けられます。ひとつは、目的ありきで読む本です。目的というのは、「いままで知らなかったことを知ること」であり、情報収集に近いものになります。ですから、長くても1冊2時間以内くらいで斜め読みをしながら必要な情報を拾う読み方になります。もうひとつは、じっくりと読み込む本で、これは自分が尊敬する著者の本や古典が中心です。
忙しい人にこそ、自分が尊敬する著者の本や古典をじっくりと読み込む読書をお勧めします。私自身、救急病連で働いていた30代のころは、次々と運ばれてくる患者さんに対応するだけで手いっぱいの多忙な毎日でした。ところが休日になると、急にむなしくなる。仕事から離れた途端に熱中するものがなくなり、自分が生きている実感が得られなくなってしまうのです。そのみじめさを解消するための手段が、私にとっては、尊敬する人の書いた本や古典を読むことでした。
人の頼みを断われない人は、一度でも断わると自分の居場所にヒビが入るのではないかと不安を抱えています。誰でもそうした不安を抱えるものですが、居場所を失うことを過剰に恐れる人は、一種の「基底欠損(きていけっそん)」である可能性があると思います。基底欠損とは、精神分析の用語で、本来は安定しているべき心の基底にいわばヒビが入っている状態を指します。たとえば、幼いころに親との間で情緒的な交流がうまくできなかったりすると、基底欠損を伴いやすい。私の臨床経験でいうと、日本人の大半は多かれ少なかれ基底欠損的ではあるのです。基底欠損の人は、自分の心にあるヒビを毎日、漆喰(しっくい)で塗り固めようとしています。普段からそうなので、頼みを断わって新たに大きなヒビを作ることには、なおさら耐えきれない。そこで、無理をしてでも引き受けてしまう。
おもてなしの心は、人の期待を裏切りたくない、相手に喜んでもらいたいという気持ちがポジティブに出たものです。しかし、その気持ちは居場所を失うという恐怖心と表裏一体。ネガティブに出ると、自分を殺して他人の顔色をうかがう人生になります。
おもてなしの心は日本の誇る精神ですから、守っていきたい大事なものではありますが、振り回されてはダメ。私たちは繊細なホスピタリティを悠々と発揮できるような人格に成長していく必要があります。
人の頼みを断われない人生は、人に支配される人生といってもいい。人に振り回されると自分自身を確認する時間が取れないので、ますます自分軸ではなく他人軸で生きることになります。自分らしく生きるためには、この悪循環を断ち切る強い心と技術を身につけることが大切なのです。
人の頼みを断われる強い心を持つといっても、居場所を失う恐怖に打ち勝つという直接的な克服法は逆効果です。本当は引き受ける余地があるのに、「嫌われてもいい」という思いで断わると、結局は罪悪感が出てきて心が折れるからです。それよりお勧めしたいのは、人から頼まれたことよりもっと重要な案件を人生の中に持ち込むことです。
20代30代のうちはどんな仕事にも積極的に取り組むことをお勧めします。しんどいと思う仕事も、しんどい部分は8割程度で2割は自分のアピールに利用できたり、人との信頼関係を築くのに役立つ部分があります。そうした仕事の副産物を積み上げていくと、次第に周りから「あの人はこの分野が得意だ」と評価されるようになって、40代になると、自分に向いている仕事ややりたい仕事を振られる機会が増えていきます。
「都合のいい人」はさまざまな面から定義が可能ですが、心の面に寄せると、「都合のいい人=感情に反応しやすい人」と言っていいでしょう。相手を自分都合よくこき使おうという人は、怒りや不安といった感情を使って相手をコントロールしようとします。逆の立場から見ると、都合よく使われやすい人は、相手のそうした感情に敏感に反応して動いてしまうわけです。
重要なのは、相手の感情を理解することです。たとえば相手がイライラしているときは、「何かやってあげようか」と即物的に反応したり、逆に頭から反発するのではなく、「困っておられるのは、こういう理由があるからですね。よくわかります」等と共感を示すのです。別の言い方をすると、相手の感情そのものではなく、その中に隠れている論理にフォーカスすることが大切です。
感情と論理は「わたあめ」に似ています。感情に反応しやすい人は外側のあめの部分に目を奪われがちですが、じつは中には論理という割り箸が一本入っています。相手を理解するために見つめるべきなのは、中の割り箸のほう。つまり、相手がなぜ怒ったり不安を抱くようになったのかという文脈にフォーカスするのです。感情の裏の隠れた論理的な部分を理解できると、相手が感情的になっても、それを冷静に受け止めて、代替案を示すことが可能になります。
相手のペースに巻き込まれているなと感じたら、しっかり食事を取ることも大切です。人は胃袋が膨らむと、落ち着いて物事を考えられるようになります。上司や顧客に無理なことを振られたら、その場で返事をせず、親しい友人とおいしいランチを食べて考える。これが鉄則です。
「人気」と「評判」は違うということをよく理解したほうがいいと思います。人気というのは、その場限りのもので乱高下します。それに対して、3カ月とか半年ぐらいかけて、徐々に積み上がっていくのが評判です。都合よく使われやすい人は、目先の人気ばかりを追うので、むしろ人に軽く見られてしまいます。その結果、かえって自分のやりたいことがやりにくくなったり、自分の意見を言いづらくなり、ストレスをためてしまうことになります。いわば戦術で成功しても、戦略で失敗しているわけです。
目標にするなら、人気より評判です。たとえ一時的に人気が下がっても、「あいつは信頼できる」、「あのふるまいは立派だ」と言われるような選択をすべきです。そのほうが長期的には心の安定につながると思います。
嫉妬や羨望の気持ちに支配されないためには、現実を見ることが大事です。誰かをうらやましく感じるのは、その人を理想化しているからです。しかしよく見ると、じつは一時的なものであったり、ある面ではうまくいっていても別のところで問題を抱えていることがよくあります。そうした現実を直視することで冷静になれるはずです。
イソップ寓話の「すっぱい葡萄」をご存じでしょうか。キツネが木に実った葡萄を見つけます。何度もジャンプして、取ろうとするものの届かなかったため、最後は「あの葡萄はどうせ酸っぱい」と自分を納得させるというお話です。他人がうらやましく見えるときは、この寓話を活用してもいいと思います。周りの人気者を見たら、「あの人は、すっぱい葡萄だ」と考え、自分は自分にできることをやるのです。
電車に乗ると、みるからにしんどそうにしているビジネスマンをたくさん見かけます。限界を越える量の仕事と責任を引き受けて、とにかく忙しい。当然、体調は悪いし、気分も落ち込んでいるのに休むこともできない。「つらいだろうな」というのが、顔をみるだけでわかります。そういう人に「仕事は楽しくしよう」といって仕事術のノウハウを伝えても、おそらく耳に入らないと思う。そんな各論よりも、根本が大事。体調と気分がよくなかったら、仕事を楽しむことはできません。まずは、その点から改善していく必要がある。
私自身、朝が大切だと気づいたのは5年ほど前のこと。思い立って孔子や老荘思想といった古典から、松下幸之助さん、安岡正篤さん、中村天風さんなどの、名著と呼ばれる本をまとめて読んだときに気づいたんです。思うがままに生きて、命を使い切って満足して死んだ人というのは、ほぼ例外なく朝を大切にしているんだと。安岡正篤さんなどは、ずばり「朝こそすべて」とおっしゃっています。朝を変えれば人生は変わるんです。
ぜひやっていただきたいのが人間関係の整理です。私のみるところ、いつも「忙しい、忙しい」といっている人は、さほど成果が出ていないし、体調も悪い。そういう人の大半は、一日に3時間くらいはムダな時間を使っているものです。その最たるものがムダな飲み会。飲み始めたらあっという間に3時間くらいは過ぎてしまう。おまけに、余計なカロリーを摂って内臓に負担もかかり、朝の目覚めが最悪になるわけです。
有益な交流はどんどんすべきです。人に会って触発されるのは本を何冊も読むのに匹敵する学びがあります。ただし、本当にお互いが高め合える相手、勇気づけられる相手、触発される相手と時間を過ごしているかをしっかりと見極めることです。あえていいますが、そこは「利用価値」にこだわっていいと思う。尊敬できるところがある、見習いたいなと思っている、一緒にいるとスカッと気分が晴れる。そういう人だけを選んで、有益な人づき合いに時間を使うことです。
「自分が好きな仕事、楽しい仕事を選びなさい」という人もいるけれど、それは天才だからできること。我々凡人が現状の未熟な判断力で「楽しい仕事」を選んだとしても、うまくいかないことも多い。それより、任された仕事を苦労してこなすうちに、だんだん楽しさがわかってくるほうがいい。私も精神科医になってから5年間は本当につらかった。その後に、ようやく少し面白さが見えてきたかな、という感じでした。
世の中の仕事の8割くらいは、全体像が見えてくると面白くなってくるものです。そのためには積極的に仕事に取り組まなければいけないし、積極的であるには気分と体調が良くなければならない。自分に余裕がないと仕事の面白さを見つけることはできません。
地味な容姿をしている相手こそ、人は簡単に信じてしまいやすいのです。考えてみてください。絶世の美女が猫なで声で近づいてきたら、普通は何か裏があるのではと勘繰りたくなりますよね。都合のよすぎることに対して、人間は自然に自制心や警戒心を抱くようにできています。それが人間の防衛機制です。ところが容姿や立ち居振る舞いに目立つところがない人が相手だと、防衛機制が上手く働かずに無防備になってしまいます。
なぜ人は騙されるのか。ひと言でいうと自分の中に抗しがたい暗い欲があるからです。人の欲には表だった欲と、隠さずにはいられない暗い欲の二種類があります。「出世してスケールの大きな仕事をしたい」「尊敬される人間になりたい」などは公言できる欲です。しかし人間はそれと同時に、「成功している人を引きずり下ろしたい」とか、「誰かを差別して優越感を得たい」というような、決して人に言えないドス黒い欲も抱えています。暗い欲を刺激されると、人は感情が高ぶり、冷静な判断ができなくなります。その結果、普段ならおかしいとわかることでも、無批判で受け入れてしまったりするのです。
たとえ欲のスケールが小さくても、対象への執着が深いと、そこが弱みとなってつけこまれる恐れがあります。執着心は自分が依って立つ基盤が小さい人、あるいは単線になっている人ほど強くなりがちです。騙されないようにするためには、これを失ったら後がないという状況に自分を追い込まないことが大切です。
普段は些細なことで動揺しない理性的な人も、いざというときに感情的になって冷静さを欠く場合があります。普段の鍛錬が少ないせいではありません。いつもは冷静な人でも、予想外の事態に直面すれば感情のコントロールが難しくなるのです。ところが、自分は理性的だと過信している人は、いざ感情的になったときにその状態を正しく自覚できず、気持ちが高ぶった状態で判断を下してしまうのです。これでは詐欺師の思うツボです。
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名越康文(なこし やすふみ、1960年6月21日 - )は、精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。奈良県生まれ。近畿大学医学部卒。 大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて精神科緊急救急病棟の設立、責任者を経て、99年同病院を退職。 引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・コメンテーター、雑誌連載、映画評論、漫画分析などさまざまなメディアで活動している。 2009年4月より、京都精華大学 人文学部特任教授に就任。 スプリット・存在をめぐるまなざし歌手と武術家と精神科医の出会い(1998 新曜社)(カルメンマキ 甲野善紀 名越康文共著) キャラッ8(パチ)(2004 幻冬舎)(おちまさとプロデュース 名越康文著) 危ない恋愛(2005 光文社)(名越康文 著)
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