名言info

金川千尋の名言41件

日本企業には古いしがらみが多く、それが本来シンプルなはずのマネジメントを複雑にしている。リストラクチャリングという言葉が、まるでファッションのように流行していますが、はじめから人を採らなければ、人員の整理という敏感な問題は起こらない。当社の米国子会社シンテックには、財務の専門家は一人もいません。一週間に一時間だけ財務を見ている人間が一人いて、私は十分だけ財務に時間を費やします。財務戦略なんて必要ないんです。格式を重んじて、意味のないことをやってもしょうがない。
製品のブームは株式の相場と同じで間違いなく崩れます。だから皆が有頂天になっているときに、ブームの質を第六感で感じ取り、景気が悪くなった時の手を打っておくことです。
組織は放っておくと、いつしかセクショナリズム(縄張り意識)が生まれ、工場や事業部が競い合って人を増やしたがるようになる。そうなってしまったら最悪です。私は日ごろから「仕事を作ったうえで、人を採るのがものの道理だろう」と言っています。今現在、仕事がないのに将来のために人材を採ってどうするのかということです。要はいらない組織は作らない。いらない人は採らないということです。徹底しなければいけないのは、このように単純なことなんです。
目の前の利益を上げられないのに夢のような長期計画を語っても私は信用しません。しかし、どんな人でもみんな仕事に打ち込んでいれば、そこには雑念のない夢があります。
決裁すべきことは無数にあります。だから明日やるなんて言って、一つのことに時間をかけてぐずぐずしてはいられないんです。調べなければわからないものは別にして、90%以上、その場でどんどん決めます。うかつな判断をしてはいけないけれど、ほとんど間違いはないですね。即決即断です。
経営者に必要な資質は、「現状を正しく認識できる判断力」と、「将来の姿を洞察できる先見性」、「現状を将来の姿に導く執行能力」です。執行能力がなければ進む方向を間違えます。そして他人を陥れたり策略を弄することなく真正面から戦うことです。
自分の判断が少しでも間違っていると思ったら、すぐに修正しなければいけません。朝令暮改でいいんです。経営を取り巻く環境は時々刻々変化しています。周囲の事情が変わっているのに、自分の判断を変えないのはただの石頭です。
リスクには「踏んではいけないリスク」と「踏まざるを得ないリスク」の二つがある。カントリーリスクやPL(製造物責任)リスクを侵したら企業にとって致命的になります。しかし、リスクを恐れてタイミングを逸しては、勝てないビジネスがある。投資が大きいビジネスは、早く立ち上げたものだけが勝者になれる。
たとえ、リスクを踏んででも時期が来たらいつでも取り掛かれる用意を常にしておき、普通なら一年半かかるところを半年で完成させる。そこに決定的な差が生まれるんです。立ち上げに一年半もかかっていてはブームは過ぎてしまう。
コストからいえば、生産能力の大きな生産拠点に一極集中した方が安くなります。しかし、ひとつのバスケットにすべての卵を入れたのでは、万一、バスケットを落とした時に卵はすべて割れてしまいます。だから、リスクは分散しなければいけない。コストは高くても、それは保険料です。大切なのは生産拠点を複数にして、いかにコストを最低限に保つかを考えることです。
信越化学工業を世界の優良企業にすることが最大の生きがいです。人ができないことをやらなければ、私が社長である必要はありません。
右のものを左に流すだけの、当時の商社の商売に興味を失いました。事業は自ら投資をして、自らのリスクでモノをつくって売るのが本来の姿だと思いはじめ、そういう事業を自分でやりたくなったのです。
極東物産(のちの三井物産)から信越化学工業に移ったきっかけを語った言葉
もし、安易な道が成功への正しい方向であれば難しいことをする必要はないでしょう。ただ、私の経験では、困難な道を選んだときの方が、結果的に成功に結びついてきました。
コモディティ商品は値段と営業マンの人間関係で決まります。値が下がっても苦しさを耐え抜けば、他の会社が脱落して供給が減るため、価格が締まっていきます。はじめは利益が出なかったのが出るようになる。この間を支えるのが営業マンの力です。需要家に、この会社のこの人から長期的に安定的に買いたいと思ってもらえる信用力です。
事業の成功の7割は営業で決まります。ただし、営業に奇策はありません。
需要家に約束したことは、体を張って守らなくてはいけません。体を張るとは、絶対に逃げないということです。需要家から品質を直してほしいという要望があったら、クレームこそ信頼関係を結ぶチャンスととらえ、会社を説得し、研究所や工場を総動員して直します。初めからどこかで逃げようという気持ちがあったらできません。
営業には車の両輪があります。ひとつは、良い需要家と信頼関係を結べるかどうか。もうひとつは、同じ関係を自分の会社との間につくれるかどうかです。いざというとき全面的にバックアップしてもらえるよう、それだけ会社に信用してもらえる力量を持てるかどうかです。口先ばかりの人は会社からも信用されません。体を張って実績をひとつひとつ積み上げられる人は会社にも信用されます。営業マンは目先の数字に目を奪われますが、数字は両輪が回った結果としてついてくるものです。
需要家の要望が本当に現実不可能なものであるなら、初めからできない契約はすべきではありません。その判断力も営業マンには必要です。一方、要望が的を射ていて、やるべきだと思ったのに実現できず、約束を守れなかったら責任を取って会社を辞めるくらいの気構えがないと会社は動かせません。
需要家は営業マンが何を言ったかよりも、何をしてくれたかを見ていて、それが信頼のベースになります。うまいことを言って契約が取れても、難しい問題が生じると、さっさと逃げてしまう営業もいます。需要家も好調なときは誰もがチヤホヤしますから、そうでないときに誰がどう動くかをしっかり見ています。何かと口が上手いだけの人間は、一時的な関係しか作れません。
特定の需要家に過度に依存すると、状況が一変したとき大きなダメージを受けます。困難でも他に有望な新しい需要家を見つけます。将来、状況が変化したとき、その有望なところが支えになります。鉄則は「易きにつくな、狭き門より入れ」です。楽な道ではなく、あえて困難な道を選ぶのが本当に強い営業です。
いまは困っていても、この先立ち直り、伸びていくと思った需要家には、私は思い切って経済援助や技術的支援をしました。本当の信頼関係は需要家が好調な時よりも、苦境に置かれたときにこそつくられていくものです。
不況の真っただ中にあるいまも、景気回復後を想定した努力を怠ってはいけません。シンテック社は昨年秋、米ルイジアナ州に新工場を稼働させると同時に、第二期工事にも着手しました。タイミング的には決してよくはなかったですが、体力の弱い企業が市場から去ったあと、需要家に商品を安定的に供給し、勝ち続けるための投資として決断しました。むろん、いまは残業をしてまでも建設工事を急ぐ状況ではないので、最低のコストで完成させるつもりです。
日々の課題については真の情報をもとにその都度、最善の判断をひとつひとつ積み上げていく。同時に、中長期課題については、不況を突き抜けたときの出口に向かって準備を整える。それが100年に1度の不況を克服し、最後まで勝ち抜くための私流の戦い方です。
未曽有の不景気が続く中で状況を的確に把握し、判断するための第一の基本は、「真に価値のある情報」と「雑音」を聞き分けることです。
あふれる情報の中で、私が最も重視するのは営業マンが集めてくる需要家の生の声です。毎日の仕事もそれを起点に始まります。朝、私は出勤途中の車中から、アメリカにある子会社で世界最大の塩化ビニル樹脂メーカー、シンテック社の現地駐在幹部へ電話をかけます。アメリカにはこの人がこんなことをいうなら、市場のサインであると察知できるようなキーパーソン需要家が何人かいて、その言葉はまさに神の声です。それを毎日確認するのです。
社内の会議で、私は参加メンバーをポストやポジションに関係なく、「誰が顧客に直接接し、生の声を知り、必要で正確な情報を持っているか」を基準に選びます。情報は人を介せば介すほど、人の解釈や都合によりバイアスがかかりやすいものです。組織内では良い情報ばかりが上がり、悪い情報は滞ることも多い。数字になって初めて事態の深刻さを知ったのでは対応が後手に回ります。
手に入れた情報が正しかったかどうかは、結果にすぐ表れます。間違っていたら修正し、新たな判断を加えればいいのです。中長期的には良い方向へ収斂していきます。前回行った判断が100点満点で60点だったら、問題を検討し、次は120点の判断を目指す。これを繰り返し、ならして100点に近づけていくという判断の技術が必要です。
我が社の場合、業績が落ちた理由を不景気と結びつけて会議で長々と説明しはじめようものなら、その場で私にきつく叱責されます。いま求められているのは、言い訳探しではありません。不景気は1から2年は続くと覚悟したうえで、それをいかに克服し、いかに結果を出していくかです。そのためには、日々変わる市場環境の中で真の情報をつかみ、その都度、最も現実的な最善の判断に積み上げていかなければなりません。
ひとつひとつの判断に時間をかけてはいけません。直面する課題の7から8割は、その場で決めます。2、3日検討するくらいなら、すぐ決断し、必要に応じて修正していく方がはるかに好ましい結果が得られると考えるべきです。
投資計画などの複雑な課題は私にもすぐには決められません。時間をかけて考えます。ただ、ややこしい課題はせいぜい2から3割程度です。課題の7から8割は即決即断を基本原則にすれば、日々のほとんどは速やかに決断できるでしょう。
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